MCPとは何か——AIが「外の世界」に手を伸ばせるようになる仕組み
Claude Codeが自分のPCのファイルしか触れなかった理由と、MCPを使うと何が変わるのかを整理した。ソロアントレとして特に使えると思った接続先も書く。
MCPという言葉を初めて見たとき、正直よくわからなかった。
「Model Context Protocol」という正式名称を見ても、何のことだかピンとこない。調べても技術的な説明が多くて、「で、自分には何が変わるの?」という答えが見えにくかった。
使ってみてようやくわかったのは、これは Claude Code の「できること」の範囲を根本から変える仕組みだ ということだ。
Claude Code の「壁」
まずここから理解する必要がある。
Claude Code は、デフォルトの状態では自分の PC のファイルしか触れない。
ファイルを読む、コードを書く、ターミナルでコマンドを実行する——これは全部、自分の PC の中で完結している。GitHub のイシューは見えない。Notion のドキュメントは読めない。Google スプレッドシートは触れない。Slack のメッセージもわからない。
外の世界は、Claude Code には存在しないも同然だった。
これは不便というより、「仕方ない」と思っていた。PC の外のことは自分が調べて、情報を貼り付けて、Claude Code に渡す——そういう使い方が普通だと思っていた。
MCP はその前提を変える。
MCP を一言で言うと
「Claude Code と外部サービスをつなぐ規格」 だ。
規格、というのがポイントで、USB ポートのようなものだと思えばいい。USB の規格があるから、どのメーカーのデバイスでも同じポートにつなげる。MCP も同じで、この規格に対応したサービスであれば、Claude Code から操作できるようになる。
GitHub、Notion、Google Drive、Slack、Stripe——それぞれ全然違うサービスだけど、MCP に対応していれば Claude Code から同じように操作できる。
図にするとこうなる:
【MCP なし】
Claude Code ─── 自分の PC のファイルのみ
【MCP あり】
Claude Code ─── 自分の PC のファイル
├── GitHub(Issues・PR・コード)
├── Notion(ドキュメント・DB)
├── Google Drive(スプレッドシート・文書)
├── Slack(メッセージ・通知)
├── Stripe(売上・顧客データ)
└── その他 MCP 対応サービス
「AIが外の世界に手を伸ばせるようになる」というのが、自分の理解だ。
ソロアントレにとって何が変わるか
ここが本題だ。
ソロアントレとして動いていると、毎日いくつかのサービスを行き来する。GitHub でタスクを確認して、Notion で記事の構成を考えて、スプレッドシートでコストを計算して、Slack に通知が来たら対応する——それを全部一人でやっている。
MCP があると、この「サービスを行き来する」作業を Claude Code が代わりにやってくれる。
例えば、今日の自分の使い方に引きつけて考えると:
GitHub MCP を使えば
- 「今週クローズできていない Issue を一覧して、優先度を整理して」と言える
- 「このバグ修正の PR を作って、適切な説明文もつけて」を一発でできる
- タスク管理を GitHub Issues で完結させながら、Claude Code から直接操作できる
Notion MCP を使えば
- Notion に書いた記事の構成メモを Claude Code が読んで、そのままブログ記事に仕上げてくれる
- 「Notion の○○ページに今月のコスト実績を転記して」が自動化できる
Google Sheets MCP を使えば
- 「finance/ のスプレッドシートを読んで、今月の収支サマリーを作って」が動く
- 財務部の CLAUDE.md と組み合わせると、CFO エージェントが実際に数字を扱えるようになる
Stripe MCP を使えば(将来・収益化フェーズ)
- 「今月の MRR と解約率を確認して」と言えば Claude Code が Stripe を読みに行く
- 異常な解約増加があれば自動で通知するような仕組みも作れる
一人で全部の部門を動かすソロアントレにとって、「情報を集めてくる作業」を外部化できるのはかなり効いてくると思っている。
どうやって設定するか
MCP の設定は、プロジェクトのルートに .mcp.json というファイルを作るだけだ。
GitHub MCP を例に書く:
1. .mcp.json を作る
{
"mcpServers": {
"github": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"]
}
}
}
2. GitHub の Personal Access Token を取得する
GitHub の設定画面 → Developer settings → Personal access tokens → Tokens (classic) → Generate new token で発行できる。repo の権限にチェックを入れる。
ghp_ で始まる文字列が発行される。これは 一度しか表示されない のでどこかに保存しておく。
3. トークンを環境変数として設定する
トークンを .mcp.json に直接書くと、GitHub にコミットしたときに漏れる。
代わりに .claude/settings.local.json(gitignore 済みのファイル)に書く:
{
"env": {
"GITHUB_TOKEN": "ghp_xxxxxxxxxxxx(取得したトークン)"
}
}
.claude/settings.local.json は Claude Code が自動で gitignore に追加するファイルなので、GitHub に上がる心配はない。
4. Claude Code を再起動する
設定ファイルはセッション開始時に読み込まれる。設定後は必ず再起動する。
現在このプロジェクトで使っているMCP
今の段階で設定しているのは GitHub MCP のみだ。
理由は単純で、このプロジェクトのタスク管理を GitHub Issues に移行しようとしているから。今は tasks/current.md というファイルでタスクを管理しているが、GitHub Issues に移すと Claude Code から直接 Issue を作ったりクローズしたりできるようになる。
他の MCP は、そのサービスを本格的に使い始めるタイミングで追加する予定でいる。Google Sheets は財務部が数字を扱うようになる Phase 3〜4 あたり。Stripe は収益化フェーズ(Phase 6)が近づいたら。
全部を一度に設定しても使いこなせない。必要になったときに追加するのが自分のスタイルだ。
MCP に対応しているサービス一覧
参考に、2026 年 3 月現在で使えるものをまとめておく。
| カテゴリ | サービス | ソロアントレとしての使いどころ |
|---|---|---|
| コード管理 | GitHub | タスク・PR・Issue の管理 |
| ドキュメント | Notion | 記事構成・戦略ドキュメント |
| ドキュメント | Google Drive | スプレッドシート・文書 |
| コミュニケーション | Slack | 通知・チャンネルの確認 |
| 決済 | Stripe | 売上・顧客データの確認 |
| タスク管理 | Linear | スプリント・バックログ管理 |
| デザイン | Figma | デザインファイルの参照 |
| ブラウザ | Puppeteer | Webスクレイピング・自動操作 |
| データベース | PostgreSQL / SQLite | データの読み書き |
| 検索 | Brave Search | Web 検索をそのまま実行 |
公式リポジトリ(github.com/modelcontextprotocol/servers)に対応サービスの一覧がある。新しいものが追加され続けているので、使いたいサービスがあれば調べてみるといい。
Claude Code に「外の世界」を渡す——これがMCPの本質だと思っている。
ファイルを読み書きするだけのAIから、自分の使っているサービス全体を横断して動けるAIへ。ソロアントレとして「全部一人でやる」ことの限界を、少しずつ外してくれる仕組みだ。
まだ使い始めたばかりで、本当に効いてくるのはもう少し先だと思う。でも、設定したあとの感覚は「これは後から効いてくる」という予感がある。